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■並列4気筒エンジンの後継機として開発されたV4 | |
1969年のCB750FOURの大ヒットにより量産インラインフォアをいち早く確立したHondaは、CB-FシリーズやCB1100RのDOHCハイパワーマシンを次々と生み出した。一方、ロードレースの世界ではさらなる高性能化を目指したオーバルピストンエンジンのNRを誕生させていく。バイクのエンジンとしての究極型をV型に求めたHondaは、'82年にVF750セイバー/マグナ/インターセプターを発表した。DOHC水冷V4エンジンを搭載する先進的マシンは、多くの技術的困難を克服した意欲作であった。コンパクトで高回転化が可能、振動面でも有利なV4は、レーサーからツーリングバイクまで幅広い対応を可能とした。 その反面、生産上の制約が多く、コスト面では不利となる。VF〜VFRシリーズが割高な設定なのはそのためだ。しかし、V4エンジンがもたらすメリットはスムーズなエンジンフィールにとどまらず、ハンドリングの向上や車体ディメンションの最適化という、バイクが一番必要とする性能要件を高次元でかなえるキーアイテムであることに違いはない。HondaがV4を開発し続ける理由はそこにある。 |
![]() レースに勝つための切り札として始まったV型エンジンは多くの成功をHondaにもたらしたが、現在のVFRにおいてはグランツーリモ的な役割をもたらす高品位エンジンとしてV4を用いている。 その洗練ぶりは他メーカーのマシンにはない素晴らしいものだ。Hondaが世界に誇る先進性の象徴でもあるV4は、時代の要請から今回DCTなどのハイメカを搭載した1200ccへと生まれ変わった。この新型の性能も目を見張るものだが、RC46-2(VFR800)が持つ「孤高の完成度」はHondaV4の30年の歴史に裏打ちされた価値あるものとして今も燦然と輝き続けているのだ。 |
文/佐川健太郎 |
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